「給与計算をアウトソーシングしたいけど、自社に合うタイプのサービスが分からないし、いくつもあるサービスを全部調べるのは大変」と、なかなか検討を進められない方もいることでしょう。
自社にマッチしたサービスのタイプや、そのタイプで代表的なサービスを知ることができれば、具体的な検討は、ずっと簡単になるはずです。そこで本記事では、ユーザー企業に合った給与計算アウトソーシングのタイプが全5種類から分かるフローチャートと、各タイプの代表的なサービスをご紹介します。
以下では、わずか30秒の回答時間で、自社が最初にチェックすべきサービスが分かります。さらに併せて、国内の主要な30のサービスを5つのタイプ別に紹介している別記事も参照いただくと、自社にとって有力な候補を素早く絞り込み、ポイントを押さえた比較検討ができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
最大3ステップで分かる!給与計算の外注先タイプ診断
上に示したのが、自社に合う給与計算アウトソーシングサービスのタイプが分かるフローチャートです。以下のテキストを順番に読み、リンクをクリックすることで、このフローチャートと同じ診断が受けられます。
最初の質問:給与計算の業務手順について
給与計算業務を効率化できるなら、現行の業務手順にはこだわらないですか?
→はい・・・・・・次の質問へ
→いいえ・・・これが最後の質問です。自社の従業員数は200人以上ですか?
→はい・・・トータルサービス系アウトソーシングが適しています。説明はこちら
→いいえ・・・士業系アウトソーシングが適しています。説明はこちら
追加質問:データ連携について
アウトソーシングに併せて、給与計算に関する社員のデータを、人事労務や勤怠のクラウドサービスと連携させたいですか?
→はい・・・・・・次の質問へ
→いいえ・・・オンプレミスシステム型アウトソーシングが適しています。説明はこちら
追加質問:運用について
これが最後の質問です。給与計算業務をいったんアウトソーシングしたら、社員が給与計算ソフトを操作する従来の運用に戻すつもりはないですか?
→はい・・・・・・クラウドソフト一体型アウトソーシングが適しています。説明はこちら
→いいえ・・・クラウドソフト操作代行型アウトソーシングが適しています。説明はこちら
タイプ別の代表的な給与計算アウトソーシングサービス
給与計算アウトソーシングに存在する5つのタイプ、および各タイプの代表的サービスは次のとおりです。上記の診断をもとに、自社に当てはまるタイプをチェックしてみてください。
タイプ1:クラウドソフト一体型アウトソーシング・・・RoboRoboペイロール
あなたの会社にマッチする「クラウドソフト一体型」の給与計算アウトソーシングは、事業者が提供するクラウドソフトを使って給与計算代行サービスを受ける、いわば「ソフトウェアと代行の一体型サービス」です。
このタイプのサービスは独自のソフトを用いる関係上、すでに給与計算ソフトを使っている企業は移行作業が必要となるほか、業務手順の見直しも伴います。その半面、「専門の事業者が、依頼者とデータや進捗を共有しながら事務処理する」方式に特化しているため、特殊・複雑な給与計算にも柔軟に対応。また、サービスの初期費用・月額費用が比較的リーズナブルな点も特長といえます。
さらにCSVやAPIを用いたデータ連携機能が標準提供されているか、今後リリース予定である可能性が高く、勤怠管理や人事労務管理で既にクラウドサービスを利用中の企業にとっては、給与計算を含む管理部門のDXを一体的に推進しやすいことも、このタイプのメリットといえます。
クラウドソフト一体型の代表的サービス「RoboRoboペイロール」は、給与計算・明細発行・人事情報管理のクラウドソフトと、それを用いた初期設定・データ入力などの代行業務、さらにサポートまでを一体提供しています。アウトソーシングに特化したクラウドソフトによる実運用を最短1カ月で始められる上、代行とソフトウェアのセットで月額1,000円/名、初期費用・月額基本料とも不要という導入・継続しやすい価格もメリットで、「DXの推進」と「業務工数の削減」を、そろって確実に達成したい企業に適したサービスといえるでしょう。
RoboRoboペイロールに関する詳細はこちら
同じタイプに属する他サービスとの比較はこちら
タイプ2:クラウドソフト操作代行型アウトソーシング・・・freee人事労務アウトソース
あなたの会社にマッチする「クラウドソフト操作代行型」の給与計算アウトソーシングは、社内利用もできるクラウド給与計算ソフトの設定・入力作業などを代行するサービスです。
クラウド給与計算ソフトは、一般に導入費用が手頃で、他社製を含む隣接業務向けのクラウドサービスとのデータ連携機能が充実しています。そのため給与計算と人事労務、勤怠管理などをまとめてクラウド化しやすく、管理部門のDXを進める企業に多く選ばれています。ただ一方、ソフトの設定や毎月の入力作業は自社で行わねばならず、担当者の退職などに伴って社内で完結するのが難しくなることもあります。
こうした場面で解決策となるのが、自社で利用中のソフトの操作を“バトンタッチ”するかたちで給与計算業務を外注する方法です。「その時々で社内処理と外注を柔軟に切り替えながら、バックオフィス業務のクラウド化を進めたい」という企業に、特に適した選択肢といえるでしょう。
クラウドソフト操作代行型の代表的サービス「freee人事労務アウトソース」は、給与計算・勤怠管理・社会保険電子申請などの機能を備えたクラウドソフト「freee人事労務」のユーザーを対象にしたもので、同ソフトを用いた月次給与計算や年末調整、従業員対応などの業務を、まるごと委託することが可能です。
freee人事労務アウトソースに関する詳細はこちら(外部サイト)
なお同様のサービスは、他の主要なクラウド給与計算ソフトでも提供されています。詳細はこちらの記事をご覧ください。
タイプ3:オンプレミスシステム型アウトソーシング・・・エコミック
あなたの会社にマッチする「オンプレミスシステム型」の給与計算アウトソーシングは、アウトソーシング事業者が構築運用しているサーバー・ネットワーク環境(オンプレミス)を使って給与計算を代行するサービスです。
アウトソーシング事業者が完成させた仕組みを基本的にそのまま利用することで、確実かつ高セキュリティな処理を比較的低コストで実現するのが、このタイプの特長です。そのため多くの場合、依頼した企業はアウトソーシングを機に、従来の給与計算業務の手順や様式を見直して業務効率化を達成することとなります。
またこのタイプのサービスは、給与計算と人事労務・勤怠のデータ連携を行う場合、専用システムを追加導入するか、ユーザー側が希望するシステムに合わせた開発を別途依頼するのが一般的です。汎用性が高いCSVやAPIによるデータ連携を希望する場合は、対応するサービスが少ないため注意が必要です。
オンプレミスシステム型の代表的サービスである、エコミックの「給与計算アウトソーシング」は、データセンターと事務拠点を国内外に持つ給与計算専門の事業者が運営。専用のスマホアプリを用いた年末調整サービスなども提供しています。同社の書式に揃えることで短期間・安価に導入できるプランのほか、オーダーメイドにも対応しており、現状そのままの給与計算フルアウトソーシングや、勤怠管理システムなどとの連携機能の構築、退職金計算などが依頼可能です。
エコミックに関する詳細はこちら(外部サイト)
同じタイプの他サービスとも比較したい方はこちら
タイプ4:トータルサービス系アウトソーシング・・・NOC人事アウトソーシング
あなたの会社にマッチする「トータルサービス系」の給与計算アウトソーシングは、従来ユーザーが行ってきた給与計算業務を基本的にそのまま、手作業も交えて代行するサービスです。
組織・人事コンサルティングの世界では、よく「150人の壁」という言葉が使われます。これは、顔見知り同士の安定した人間関係は最大で150人程度という人類学の知見から、組織をさらに大きく成長させるにはメンバー個人間の関係に頼らず、社内のルール・仕組みを整備していく必要があるとする見解です。
組織のほか業務に関しても、従業員200人以上の規模に達した企業は、メンバー個人の経験・スキルに左右されない仕組みづくり(業務標準化)に取り組んでいるはずです。いったん標準化された業務はその後の見直し・修正も容易であることを考えると、従業員数200人以上の企業が「現行の給与計算業務の手順を変えたくない」という場合、今後の業務標準化も視野に、まずできるところから改善に着手すべき状況といえそうです。
こうしたケースで、いったん給与計算業務をそのまま肩代わりしてくれる事業者への依頼は、外部からの的確な助言・サポートを得るための現実的な選択になりえます。ここで肩代わりの役割を担うのが、トータルサービス系アウトソーシングです。
このタイプの代表的サービスである、NOC人事アウトソーシングの「給与計算サービス」は、年末調整のような繁忙期限定の外注にとどまらず、毎月の給与計算や勤怠集計、さらに管理部門全体のアウトソーシングまで対応し、現在のシステムをそのまま使い続けられるのが特長です。幅広い対応範囲からユーザー企業にとって「効果が最大化される部分」を見極めて切り出すため、いったん現行体制を前提にアウトソーシングを始め、業務内容を精査しながら最適化を進めたい企業に適したサービスといえます。
NOC人事アウトソーシングに関する詳細はこちら(外部サイト)
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タイプ5:士業系アウトソーシング・・・株式会社イージーネット・社会保険労務士法人イージーネット
あなたの会社にマッチする「士業系」の給与計算アウトソーシングは、人事労務の専門家である社労士(社会保険労務士)をはじめとする士業系の事務所が給与計算を代行するサービスです。給与計算代行のほか、労務相談や社会保険手続き代行といった専門サービスにも強みを持つのが、このタイプの特長です。
人事・労務の専門家である社労士は、国内で過半数の企業が利用経験を持つとされるほど身近な存在です。最もニーズが高い相談業務・手続業務のほか、主要な業務として給与計算も受託しており、やや古いデータではあるものの、「顧問社労士がいる企業の約2割が給与計算業務を依頼している」との調査結果もあります。
(参考:全国社会保険労務士会連合会「社会保険労務士のニーズに関する調査結果」(2015年11月))
「労務相談などで既に自社のことを理解している社労士に、社内で抱えている給与計算も依頼してスムーズに業務を進めたい」、あるいは「給与計算の外注をきっかけに、人事・労務の相談先や、社会保険手続代行の依頼先も併せて探したい」といった場合には、社労士事務所・社会保険労務士法人への給与計算アウトソーシングが最善の選択肢となるでしょう。
もっとも、特に小規模な社労士事務所では、事務処理能力の関係上、依頼企業の従業員数に上限を設けている例が多くみられます。そのため、士業系の給与計算アウトソーシングサービスを検討する上では「自社の規模に対応しているかどうか」が、まず重要なポイントとなるでしょう。
給与計算を代行する社労士事務所・社会保険労務士法人は全国各地に多数あります。このうち、東京に拠点を置く株式会社イージーネット・社会保険労務士法人イージーネットは、給与計算・勤怠・社保手続・労務相談などを包括的に請け負っており、給与計算代行では「10人未満から4000人まで」という幅広い対応実績をアピールしています。
株式会社イージーネット・社会保険労務士法人イージーネットに関する詳細はこちら(外部サイト)
同じタイプに属する他サービスとの比較はこちら
まとめ
給与計算アウトソーシングサービスのタイプ診断のほか、全5タイプの特徴、さらに各タイプを代表するサービスの概要について解説してきました。大まかなサービス内容は同じように見えても、サービスの提供形態や、想定するユーザーの企業規模・ニーズに応じて、さまざまな違いがあることがお分かりいただけたと思います。
給与計算の外注先を具体的に検討するためのきっかけとして、本記事ではまず簡単な診断をもとに、タイプ別の代表的なサービスを1つのみピックアップする構成を取りました。多くの場合、最終的な選定までには類似・競合サービスとの詳細な比較が必要でしょうが、全30サービスが比較できる別記事も併せてご覧いただき、自社にとってベストの選択をぜひ見つけてください。